研究
宇宙史初期への挑戦
当グループは、宇宙史初期を観測的に探る研究 を行っています。具体的には、大型望遠鏡を用いた深宇宙探査により、遠方銀河を探し、初期の銀河形成およびこれと密接に関連する宇宙再電離の物理過程を調べています。
ビッグバンから始まった138億年の宇宙史の中で最初の約10億年(宇宙背景放射の時代である赤方偏移1100から6までの間)は、観測的にほとんど理解されておらず、宇宙史におけるミッシングピースとなっています。この時代は宇宙の黎明期に当たり、 原始ガスから星や銀河が初めて誕生するといった未解明の天体物理現象が数多く存在しています。またこの頃に宇宙を満たす水素ガスが再電離されたと考えられていますが、再電離の時間進化はもとより、その原因が初代銀河による紫外線だけで説明 できるかどうかも分かっていません。これらの問題は、宇宙最初の約10億年の時代を観測しない限り解決できないのですが、この時代にある天体は非常に遠いため、見かけ上とても暗く、簡単に観ることができません。私たちは、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡(また今後はALMA)といった世界最先端の望遠鏡を駆使し、未だ人類が目にしたことのない宇宙に挑戦しています。